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自立支援のための介護サービス

いま、日本が迎えている大きな課題のひとつが少子高齢化です。

日本は世界で類を見ないほどのスピードで超高齢社会となり、 それに伴い、介護を必要とする高齢者も急激に増えています。

 

介護保険の認定を受けている高齢者は要支援・要介護をあわせて全国で 650 万人を超えています。

今後、高齢化のピークを迎える 2025 年に向けて、さらにその数は増えていくことが予想さ れています。

 

このまま高齢者人口が増えていくことは避けることはできませんが、 介護予防を通して元気な高齢者を増やしていくことはできます。

介護保険の目的は介護保険法の第一条に記載されており、 「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができる」ように支援すること、 つまり「自立支援」を目指していくことを求めている制度でもあるのです。

ただ、現状、介護保険サービスは介護が必要になった人の「お世話」に終始している場面 も多く、 自立支援につながっていないという指摘もあります。 サービスを提供する事業者側としても、サービス利用者の要介護度が高い方が事業所の受 け取る介護報酬単価が高くなることもあり、 自立を促していくことには消極的にならざるを得ない側面もあります。

こういった介護サービス提供のあり方を変えるべく、自立支援のための介護サービスへの転換が求められています。

 

今後、要介護度の改善などに伴い、事業所にインセンティブを支給するという取り組みが さらに広がっていくことが予想されます。

すでにいくつかの自治体でもこのようなインセンティブの導入を実施しています。 昨年 4 月に行われた介護報酬の改定でも、デイサービス利用者の生活動作や運動機能の状況を評価し、 条件を満たす場合に上乗せの報酬を加算として事業所が得ることができるように設定され ました。

ただ、要介護状態の改善の結果、介護保険の認定調査で非該当(自立)と判定され、 介護保険のサービスを卒業するというケースはまだまだ数は多くありません。

 

本来あるべき自立支援を目指した介護サービスの実施が広がることで、元気な高齢者を増やし、地域を活性化していくことができます。 そのためには、サービスを提供する事業者側や、サービス調整・目標設定をするケアマネ ジャーはもちろん、 サービスを利用する側の高齢者やその家族の意識が変わっていくことも必要です。

 

オムツの交換や、食事の介助に代表されるような、介護といえば、お世話をしてもらうという受け身の印象があります。

そうではなく、介護保険の目的はあくまで自立支援であること、高齢になっても自分が自 分らしいと思える自分に近づくためのものとして位置付けていく必要があります。

 

自立支援のための介護についてもっと周知を広げていくことが必要なのではないでしょうか。