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20190314 参議院予算委員会

20190314 参議院予算委員会

3月14日(木)予算委員会の質疑内容です。

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○山口和之君 日本維新の会・希望の党の山口和之でございます。
少し心配事があります。十五分いただければ充分、大丈夫ですというふうにお伝えしたんですが、どうも充分でなさそうなので、答弁の御協力をよろしくお願いいたします。
まず、根本厚生労働大臣に伺います。
東日本大震災、福島第一原発事故から八年経過いたしました。まだまだ風評被害は根強く、健康への不安は大きいところでございます。福島の平均寿命と健康寿命を世界一にできれば風評被害は完全に払拭されてしまうと思うのですが、大臣としてはどういうふうに思われるでしょうか。お願いします。

○国務大臣(根本匠君) 平均寿命や健康寿命、これはその地域の健康状態を反映する指標ですから、地域の健康イメージにも影響を与えるため、その延伸に向けて取り組むことは重要だと思います。そこは私と同じ思いだと思います。
厚生労働省では、第二次健康日本21において、平成二十五年から、健康寿命の延伸、健康格差の縮小などの目標を掲げて国民の健康の増進を総合的に推進しています。その一環として、健康づくりの優れた取組を表彰する「健康寿命をのばそう!アワード」、これを実施しています。
平成二十八年度に、福島県が震災後に全国に誇れる健康長寿県を目指して開始した健康づくりの事業が受賞しました。これは福島県の健康イメージの向上に寄与して考えております。今、福島県の皆さん、本当に懸命に努力しておられます。その意味で、このような好事例が福島県内で更に広がって健康寿命の延伸が図られるよう、厚生労働省としても応援していきたいと思います。

○山口和之君 ありがとうございます。
日本人の死因の第一位はがんで、第二位は心疾患、第三位は脳血管疾患と。がん対策については、平成十八年の基本法ができて大きく前進したところだと思っております。昨年末にようやく脳卒中、循環器病対策基本法もできたところでございます。福島では脳卒中や循環器病による死亡率が高いため、この基本法の成立は福島にとっても極めて重要だと思いますが、大臣はどう思われますでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) 昨年十二月十日に、山口議員も尽力されて、循環器病対策基本法、これが成立しました。この法律は、脳卒中や心血管疾患について、予防や急性期からリハビリテーションやケアを含めた慢性期まで幅広い対策を総合的に推進するためのもので、我が国にとって極めて重要だと考えています。
今後、国で基本計画を定めた上で、地域の実情などを踏まえた循環器病対策の推進に向け、各都道府県も計画を策定する予定です。
国としても、福島県を始め各都道府県での対策が円滑に進むように予防や研究を進めていきたいと考えています。

○山口和之君 どうもありがとうございます。
福島の復興が日本の再生の鍵だと思っておりますので、根本大臣には、福島県出身の、在住の厚生労働大臣として御尽力をいただきたいと思います。
次に、健康で居続けるためには予防医療が大変重要なんですけれども、実は介護も非常に大切です。
突然ですが、総理に伺いたいんですが、良い施設の介護サービスのイメージを教えてください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 介護サービスは、サービスを受けられる方々が尊厳を保持し、そしてその有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができるよう、それぞれ能力というか、自立度に対する身体的能力は違うんだろうと思いますが、それぞれに応じた対応をしていくことが重要だろうと思いますが、適切に提供されることが重要と考えておりまして、これを体現している介護サービス施設が良い施設であると考えております。

○山口和之君 パネル一、資料の一を見ていただきたいと思うんですが、

これは、左側が従来の介護施設の風景です。右側がこれから新設される特養の設備と言っていいでしょうか、これ、なんですけれども、自分は全国いろんなところを見に行ったりするんですけれども、そこの施設が、ここはいいぞと、ここはいい施設かな、頑張っているなというところをどこで見るかというと、テーブルのところに椅子があるかないかで自分、見ます。
椅子があるということはどういうことかというと、乗り移る機会があるんです。ずっと車椅子でいるわけではないということなんです。いろんな椅子があったところは、いろんな椅子があるところは、テーブルで御飯を食べるときの椅子、それからくつろぐときの椅子、立って、しゃがんで、乗り移ってというふうに何回もできるわけなんです。ところが、ほとんどの施設は車椅子です。だから、テーブルに全く椅子のない施設まであります。これで自立できるかといったら、難しいところです。
これ、右側を見ていただけると、特養が何軒目かオープンされたところで、三軒目ですかね、の特養の写真なんですけれども、椅子は必ず置くと言っていました。それから、お風呂はおうちに、特養なんですが、おうちに帰る可能性があると、だからお風呂は個浴にしていると。機械浴を自慢するんではなくて、個浴を自慢しているところです。それに、トイレで排せつします。だから、全室個室なんですが、個室にトイレが置いてあります。要介護五であってもトイレで排せつしますということをしております。

次のパネルを見ていただきたいんですが、

これは有名な、我々の中では有名な川越研究のデータの結果ですが、要支援状態から要介護状態にだんだん重度化していくんですが、起き上がりがやりにくくなってきて、片足立ちができにくくなってきて、歩行ができにくくなってきて、寝返りができにくくなってきて、乗り移りができにくくなってきて、食事ができにくくなって、介護状態がどんどん落ちていくわけなんですけれども、この乗り移る機会がない、歩く機会がない、立ち上がる機会がないといったら、落ちるのは当たり前なんですね、これ。誰が考えてもそうなんです。これ、もう二〇〇三年に出されているデータです。
次の質問に入りますけれども、総理にお伺いしたいのは、介護老人福祉施設、特養と介護老人保健施設、老健の総理の中でのイメージを教えていただければと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 介護老人福祉施設、いわゆる特別養護老人ホームでありますが、要介護度が三以上などの介護ニーズの高い方々が入所する施設であり、日常生活上の世話が行われる上で、入所者の方ができることを伸ばしつつ、生活の質の改善を目指す施設であると承知をしております。
介護老人保健施設については、リハビリテーションや必要な医療を利用者の状態に応じて提供することを通じて、要介護者の方の在宅への復帰を目指す施設であると承知をしております。

○山口和之君 ありがとうございます。
次のパネル、資料を見ていただけるといいんですが、

新規開設の特養、ここの特養の開設から半年後の成果です。
この左側を見ていただくと、歩行改善状況とありますが、全部車椅子を使っていた人が半分いたんですが、半年後には二〇%です。一番下の方に、見ていただくと、歩く機会は八〇%を得ております。特養ですよ。
次に、便失禁の改善状況です。最初はもう便失禁、七〇%の方が便失禁です。要するに、おむつにしていますということです。ところが、半年後にはほぼ一〇〇%に近く、九八%、九九%の方がトイレで排せつしているんです。こういう施設もあるんです。こういう施設を全国に広めることが大事だと思います。

次のパネルを見ていただけると、

新規開設の特養。じゃ、この特養はどういうふうにいい成果を出しているかと見ますと、この右下を見ていただけると分かるんですが、要介護状態の悪化した人は、全部で六十三名ですね、入ってきた方、特養に入ってこられた方六十三名の中の悪化した方は九名、一四%、維持した方は二十四人の三八%、何と改善は四八%です、三十人の四八%。どういうことかというと、今まで何していたのということです。特養に来たら、重度の人ですから、あとはその人らしい生活を送れればいいねだけではないんです。やっぱり改善する可能性のある方がたくさんいらっしゃるということです。
次のパネルを見ていただきと思います。

八十七歳の要介護五の方です。この方は最初どうだったか。胃瘻増設して寝たきり状態でここの特養に入ってきました。結果、どうかというと、排せつは全てトイレで、食事は常食ですよ。施設に行ったらおかゆなんですよ。おかゆってどういうことが起きるかというと、おなかいっぱいになるんですよ。栄養が足りなくなるんですよ。そういう状況から、常食が食べれるんです、好きな御飯が食べれるんです。歩行器で移動しているんです。
まあ、こういう例も全国あると思いますが、とっても大事なことですので、もし見逃していたらこの方どうかというと、ベッドの中でずっと寝ている人になってしまうということです。
次に、このように改善していく方はたくさんおります。ですので、特養というのはついの住みかと言われて、実は理学療法士とかというのは必須配置ではないんです。介護保険料を同じように払っているのにもかかわらず、在宅の方は通所リハビリテーションが受けられるし、訪問リハビリテーションを受けられるんです。ところが、特養に行った方々は、機能訓練指導員という方がいて、そこで少しやるぐらいなんです。それでいいのかということです、これだけ改善するのに。そこはちゃんと考えていただきたいと思います。
一方、老健あるんですけれども、老健もこれ、いい老健と悪い老健というのがあって、いい老健、私の考えるのはショートステイをたくさんやっているところです。在宅で生活しているとどうしても機能が落ちてきます。その落ちた機能をショートステイでブラッシュアップしてまた在宅生活ができるようになる、なぜかというと、老健というのはプロがそろっているところだから。ところが、この老健に行ってみますと、皆さん見ていただくと分かるんですが、やっぱりテーブルに椅子がないんですよ。こんなので日本が救えるかというふうに思っていただきたいと思います。
総理が先ほど自立支援ということを言っていただきました。二〇二五年問題に間に合うように、総理がおっしゃっていました、以前に。二〇二五年問題に間に合うように、予防・健康管理と自立支援に軸足を置いた新しい医療・介護システムを二〇二〇年までに本格稼働させていきます、介護でもパラダイムシフトを起こしていきますと、力強い発言をしていただきました。これでかなりの頑張っている施設は同意をしました。これは日本が大きく変わるというふうに、本当に希望を持ちました。
そこで、この介護パラダイムシフトを起こす理由について、改めて発言の趣旨を伺いたいと思います。総理お願いします。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自立支援に軸足を置いた介護を進めるためのインセンティブ措置の一環として、平成三十年介護報酬改定において、デイサービス利用者の日常生活動作が維持、改善されたことに対する評価を導入したところであります。
今後、全世代型社会保障の構築を進めていく中で、例えばこうしたインセンティブ措置の強化についても、その効果や影響の検証を進めて、二〇二一年度に実施予定の次期報酬改定の議論の中で検討をしていきたいと、こう思っておりますが、このパラダイムシフトを起こすと、こういうふうに申し上げたことにつきましては、高齢者が自分でできるようになることを助ける自立支援に軸足を置き、本人が希望する限り、むしろ介護が要らない状態までの回復を可能な限り目指すことにより利用者本人の生活の質を向上させていくことでありまして、パラダイムシフトを起こすというのは、こういう考え方の下に様々な制度を見直していく必要があるとの趣旨で申し上げたところでございまして、冒頭申し上げましたような考え方で進めていきたいと、こう考えているところでございます。

○山口和之君 見逃して要介護状態が悪化していくという、これはプロとしては恥ずかしいことなんです。ところが、全然気付いていない方がたくさんいらっしゃいます。このパラダイムシフトを起こすということは日本を助けることに大きく貢献していくと思っていますので、是非お願いしたいと思います。
では、あと一分なので、ちょっと待ってくださいね。パネルを見ていただきたいと思います。

実は、あと、二〇二〇年までにシステムをつくって二〇二五年に間に合わせようと思うと、そう簡単にはいかないんですよね。科学的介護ということを国は出しておりますけど、データを集めて教科書を作って、これはいいやり方ですよと言って説明してもなかなか難しいです。
これ、資料を見ていただくと分かるんですが、これは自立支援型通所介護の施設での介護度の変化です。一番右側の維持改善を見ていただくと、五千人中四千百人は維持改善です。悪化は九百二十五人です。改善率で見ると、要介護三、四、五の方が改善率が非常に高いわけです。
これ、この施設がこの二十五年から二十七年の間にどれだけの費用対効果があったかというと、実は十三億円あったと。だったら、もうインセンティブにしっかり働かせていただきたいと思います。

○委員長(金子原二郎君) 山口君、時間が来ておりますので。

○山口和之君 以上です。よろしくお願いします。

○委員長(金子原二郎君) 以上で山口和之君の質疑は終了いたしました。(拍手)