Topics

自立支援に向けて、利用者と職員がともに歩むデイサービス、利用者と職員の共同作業、目標の共有化と介助の力を最大限に活用

自立支援に向けて、利用者と職員がともに歩むデイサービス、利用者と職員の共同作業、目標の共有化と介助の力を最大限に活用

みなさんはデイサービスにどのような印象をお持ちでしょうか。

日帰りで入浴や食事・レクリエーションなどをして過ごす場所、というイメージを持たれている方も多いと思います。

 

日々の生活を介護に追われるご家族のレスパイト(休息)には有効かもしれませんが、デイサービスは利用者を預かるためだけの場所ではなく、利用者の自立を目指していくための場にしていくことが必要です。

自立支援に軸足を置き、自立支援に効果のあるサービスを重視していくパラダイムシフトが求められています。

 

参議院予算委員会の場でも限られた時間ではありましたが、自立支援型のデイサービスについて紹介させていただきました。

介護保険を卒業された方が204名もいる、そんな結果を残しているデイサービスグループがあります。

平成25~27年の間に、利用者総数5032名、内、維持改善が4107名、要介護3以上の改善率は40%を超えています。実に13億円もの費用対効果をあげていると計算をしています。

 

一般的に、年齢を重ねるごとに要介護状態は悪化していく傾向にあります。

これを維持するだけではなく、改善するためには科学的根拠に基づいたサービス提供が必要になります。

 

これまでのように歩けなくなった原因を「加齢による筋力低下」だと、単純に結論付ける傾向がありますが、だからといって筋力をつければ歩けるようになるわけではありません。

正しい姿勢で歩くこと、使われなくなってきた機能を活性化することで、筋力をつけることを目的とするのではなく、活動力、歩くことを目的としたリハビリテーションを行うことが必要です。

 

運動だけではなく、食事や水分摂取、そして排泄も含めて日常の生活習慣を改善していくことで、利用者の意欲の向上や行動変容につながり、要介護状態の改善という結果を得ることができます。

 

そして、過剰なサービスをしないということも重要です。

手厚く介護をする、かゆいところに手が届く、これがいいサービスと思われてきました。

利用者や家族に喜ばれるサービスなのかもしれません。

しかし、立ち止まって考えてみましょう。

本当にそれがその人にとって必要なサービスなのでしょうか。

 

自分でできることは自分で行うこと、

自分でできることを奪わないこと、

自分でできないことは介助すること、

利用者自身が自らの課題に向き合い、努力していく姿を後押しすること、

それこそが本当に必要とされる介護サービスではないでしょうか。

 

重要なことはご自分でできないことに介助をするということです。安易に車椅子ではなくて、微妙な力(介助)加減で利用者ご自身が行う動作を介助することです。特に車椅子からの移乗や歩行介助は重度化を防止するだけでなく、生活行為の繰り返す介助には、改善が見込めます。

 

もちろんサービス事業所や職員が利用者に自立支援を押し付けることが自立支援ではありません。

利用者がこうありたいと願う自分自身の姿に一歩でも近づくことができるよう、支援し、そこに介助をし、その目標を共有し、ともに自立に向けて踏み出していく関係作りが求められます。

 

 

介護保険の報酬体系では要介護度に応じた介護報酬が事業所に支払われます。

要介護5の方が要介護1になることもあります。事業所が受け取ることのできる介護報酬は大幅に減ります。

もちろん、要介護認定で自立(非該当)と判定された方は介護保険でデイサービスを利用することはできません。

 

今後、デイサービスでの自立支援を促進していくためには、自立支援に結果を残し、費用対効果をあげている事業所を評価していくべきです。

要介護認定での自立や、介護度の改善に伴うインセンティブをより明確に導入することが必要ではないでしょうか。