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住民が地域でつながり、地域を作る。地域包括ケアシステムとは

住民が地域でつながり、地域を作る。地域包括ケアシステムとは

いま、日本は65歳以上人口が総人口の割合の28%を占めるという超高齢社会に突入しています。

それだけではなく、一人暮らし高齢者の増加、高齢者が高齢者を介護する老老介護世帯の増加など、家庭の介護力も低下し、介護が必要になった高齢者を支える基盤は弱まっています。

 

高齢化だけではなく、少子化も急速に進行しています。

これまでは生産年齢(20~64歳)が高齢者を支えるという社会の在り方を目指していましたが、いまや生産年齢2~3人が高齢者一人を支える騎馬戦型高齢化社会となり、さらに、今後は生産年齢1.2人で高齢者一人を支える肩車高齢化社会を迎えることが予想され、根本的な社会システムの見直しが必要になりました。

 

こういった状況で社会制度を維持させるために考案されたのが「地域包括ケアシステム」です。

住み慣れた地域の中で、そこに暮らす高齢者も主体的に参加しながら介護を支えるまちづくりを行い、医療・住まい・介護・生活支援・介護予防といったサービスが互いに連携しながら地域の中で一体的に提供される社会システムをこのように呼んでいます。

 

地域包括ケアシステムの構成要素のひとつ、介護予防には特に注目が集まります。

 

いま、地域では住民主体で多くのサロンや自主グループが運営され、高齢者の集いの場が生まれています。

民生委員が中心になって運営しているグループや、男性高齢者だけで集まるグループ、介護予防の講義を受けた方たちが自主的に立ち上げたグループなど、その特徴は様々です。

 

同じ地域に暮らす人々が互いに顔を合わせ、声を掛け合える場があることは、介護予防としても大きな意味を持ちます。

外出することで閉じこもり予防や活動力の向上、うつ、認知症予防など、要介護状態に陥るリスク要因を改善する効果があります。

活気のある地域の集いの場が、元気な高齢者を増やしているのです。

 

ただ、運営する側も簡単にできることではありません。

運営する側も多くは同じ高齢者であり、介護予防について専門的な知識を持っている人も多くはいません。

運営側の高齢化や担い手不足、会場の確保、運営資金など、様々な課題を抱えています。

継続することが困難になり、終了してしまうサロンなども少なくありません。

 

こういった地域のサロンやグループのバックアップは、地域包括支援センターや社会福祉協議会など、様々な組織が行っていますが、まだまだそのサポート体制は不十分です。

 

市町村や地域包括支援センターには地域住民やボランティアのネットワークづくりや担い手育成を担う役割として地域生活支援コーディネーター(地域支えあい推進員)が配置されるようになりました。

 

ただ、地域の特性を十分理解できていない、人材を発掘・育成するためのノウハウも不十分、離職や転勤などでコーディネーターが定着しないなど、地域住民の活動を支えるコーディネーターの育成の部分では全国的に見てもまだ大きな課題となっています。

 

地域の特性をよく知り、人材の発掘・育成や相談などに力を発揮できるコーディネーターがいることで、地域の介護予防が促進されます。

縁の下の力持ちとしてコーディネーターが住民主体の活動を支え、ネットワーク化していくことで、より魅力的な地域になっていくのではないでしょうか。