認知症の人が労働する。
以前は考えられなかったことですが、
そんな取り組みが各地で広がっています。
「注文を間違える料理店」という
認知症の理解促進を目指したレストランがあることはご存じでしょうか。
レストランのホールスタッフは全員認知症疾患を持った方。
たとえ、餃子を注文してハンバーグが出てきても許せる寛容な社会を目指してスタートした注文を間違える料理店。
先日厚生労働省の職員向け食堂でも期間限定で注文を間違える料理店が行われました。
理解の促進や多様性を受け入れる寛容な社会づくりにも意味は大きいのですが、
認知症を持つホールスタッフにとってもこれは大きな意義があることです。
接客し、注文を取り、テーブルに運ぶ。
労働として行うことで緊張感や刺激を受けること、
自分が行ったことが認められて自信を持つことなど、
認知症の人が働く仕組みづくりをすることで
労働は認知症の状態改善にむけてのセラピーにもなるのです。
こういった認知症ケアはデイサービスでも行われるようになりました。
ホールスタッフだけではなく、
畑仕事をして野菜を収穫したり、
パンを作って販売したり、
カーディーラーに行って洗車の仕事をしたり、
コミュニティ情報誌のポスティングをするなど、
有償ボランティアとしてその対価を得る活動をしているデイサービスなどもあります。
若年性認知症の方を対象にしたデイサービスを中心に始まった取り組みでしたが、
社会参加型のデイサービスとして広がりを見せています。
昨年四月に行われた介護保険法の改正ではこういったデイサービスでの
有償ボランティアの実施や社会参加といった取り組みをピックアップしています。
介護サービス計画・個別介護サービス計画に社会参加活動等が位置づけられていることや
サービス事業所の職員による見守りや介助等の支援が行われていること、
利用者が主体的に社会活動に参加することにより達成感や満足感を得て自信を回復するなどの効果が期待できるような取り組みであることなど、
いくつかの条件を満たしていればデイサービスの利用者が有償ボランティアを含めた社会参加等の取り組みをすることを認めています。
こういった取り組みをする事業所が増えることで、
認知症に理解のある企業や団体がデイサービス事業所と連携し、認知症ケアに関わることも増えていくのではないでしょうか。
受け入れる企業や団体側も認知症の方とのかかわりを学ぶ機会になり、認知症についての理解を促進することができます。
また、こういった事例が増え、協力を名乗り出る企業が増えることで、利用者側の選択肢も増え、
利用者の興味や能力に応じた労働を手にすることが出来るのではないでしょうか。
企業や団体とデイサービスをマッチングする仕組みを作っていくことも、今後に向けたひとつの課題になりそうです。
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