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高齢者の孤独死を防ぐネットワークとテクノロジーとコミュニティー! 地域包括ケアの大きな課題!

「閉じこもり」というと若年層のイメージが強いと思いますが、もともと高齢者に使っていた言葉です。高齢者の閉じこもが、今非常に大きな問題となっています。

 

近年、核家族化が進み、一人暮らしの高齢者が急速に増えているからです。

内閣府が発表した平成30年度高齢社会白書では男性の独居高齢者は192万人、女性の独居高齢者は400万人となっています。

 

65歳以上の高齢者人口のうち独居高齢者の割合は男性で13.3%、女性で21.1%を占めています。

さらに、今後この割合は増加を続け、2040年時点で男性高齢者の20.8%、女性高齢者は24.5%が一人暮らしになるであろうと予測されています。

 

昭和55年にはこの数字は男性が19万人で4.3%、女性が68万人で11.2%だったことを考えると、高齢者の独居世帯数がいかに急速に増加しているかがわかります。

 

核家族化により、地域とのつながりを持たない高齢者も増えています。

特に男性高齢者はそれまで人との付き合いについては、仕事を通したものだけしか持っていないケースも多く、退職をした後には人とのつながりが途絶える場合があります。

 

孤立した高齢者は外出も少なくなり、うつ状態になりやすく、食事や睡眠などの生活習慣も不規則になり、運動機能や健康状態にも重大な影響を与えます。

 

子供や兄弟などの肉親がいない、もしくは関係が断絶している・疎遠になっている場合など、孤立死・孤独死を迎えるというケースもあります。

こういった事態を起こさないよう、いかに地域でのコミュニティー、関わりを構築していくかが大きな課題になります。

 

民生委員などが中心に独居高齢者等の戸別訪問を行っていますが、独居高齢者世帯・高齢者夫婦のみ世帯の増加に対応することも難しくなっています。

地域包括支援センターや自治会・老人会・さらに市町村も含めたネットワークづくりを行い、高齢者の孤独死を防いでいく取り組みが必要です。

 

そして、その先には高齢者が地域とのつながりを持つための機会を増やす取り組みが必要です。

地域のサロンやボランティアへの参加など、気軽に集まれる環境づくりをしていくことも必要になります。

定年退職後の地域デビューを積極的に後押ししている自治体も増えています。

趣味や運動、生涯教育など男性高齢者が集まりやすいテーマをもとに地域の中での居場所作りを行っています。

現役時代に培った経験などを生かせるようなボランティア(有償ボランティアも含む)活動へつなげていくことも重要な取り組みです。

 

孤独死の防止に向けてICTを活用した見守りサービス導入に踏み切っている自治体もあります。

人感センサーや緊急通報サービスによる24時間体制の見守りや、コミュニケーションロボットとクラウドサービスを活用して遠隔コミュニケーションや見守りなど、テクノロジーを導入することで高齢者の孤独死を防ぐ取り組みが広がっています。

 

地域の実情により、見守りをきっかけとして人との関わりをどう構築できるのか、自治体と地域住民とが実践を重ねながら検討していくことが必要になります。

 

地域の中で人と人とがつながりを持ち、高齢者を孤立させない地域づくりを官民一体になって進めていくことが求められています。地域包括ケアの大きな課題です。