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がん治療とがん教育

現在、日本国民の死因の第一位はがん(悪性新生物)で、国民の二人のうちひとりはがんになり、三人に一人はがんで亡くなっています。

一年間に37万人以上の国民ががんで死亡している計算になります。

 

国民病といわれるまでに脅威を与えている病気でありながら、早期発見のための検診率はまだまだ低いのが現状です。

胃がん・肺がん・大腸がん検診の受診率は4~5割程度。

女性における乳がんや子宮頸がんの受診率でいえば3~4割程度にとどまっています。

 

欧米諸国と比較してもこの数字は低く、日本同様に任意型検診を主体にしているアメリカでも、女性の子宮頸がん検診受診率は84.5%。

乳がん検診受診率は80.8%となっています。

諸外国と比較して、がん検診の受診率が低い原因の一つにはがんに対する教育や啓発が不足していることが挙げられます。

 

がん教育が普及していないことによる弊害のひとつとして、

不確実な民間療法や医療デマが横行しやすくなっているという点が挙げられます。

 

抗がん剤治療や放射線治療、手術といった科学的医療に頼らずに、免疫を高めればがんは治療できる。

がんを治すためには病院に行ってはいけない。

といった情報も拡散されています。

SNSなどインターネットでもこういった情報は発信され、誰でも目にすることができるようになりました。

民間療法で高額な自費診療を請求されるようなケースも後を絶ちません。

 

しかし、その科学的根拠は?リスクは?成功率は?

十分な検証もない不確実な情報でありながら、病気の進行に絶望した人が藁をもつかむ思いで飛びついています。

もちろん、民間療法の全てに効果がないと結論付けることはできませんし、検証を重ねながら年々実績を積みあげている治療などもあります。

 

ただ、民間療法の一部には医療デマや医療詐欺といわれるものも含まれており、そういった情報に限られた貴重な時間や財産を費やしてしまう不幸な事例は後を絶たず。

そしてその結果に誰も責任を取ることはありません。

 

がんについての教育を、学齢期からライフステージごとに普及啓発していくことで

確かながんに対する知識を身に着けることができる社会づくりを進めていく必要があります。

 

がんは国民のふたりにひとりが経験する病気です。

あなたやあなたの大切な家族がいつか、がんと告げられる。

がんと無関係に生きることができる人は少ないのです。

 

がんと宣告されたとき、あなたは誰と、どのように残された時間を生きていきたいか。

大切な人と話し合う時間を持つことも必要なのではないでしょうか。