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介護サービスの利用者負担は今後も増え続けるのか

介護サービスの利用者負担は今後も増え続けるのか

現在、介護保険のサービス利用に伴う利用者負担は、利用者の収入要件により1割・2割・3割と3段階に分かれています。

現役並み所得者が対象になる3割負担は高齢者全体のおよそ3%と推計されています。

 

応益負担と応能負担。

サービスを利用する利益に応じた負担を支払うという応益負担と、経済的な能力に応じた負担を支払う応能負担。

介護保険はこのふたつをミックスさせる形の利用者負担が存在しています。

 

今後、制度の持続のために、自己負担割合の引き上げを検討しており、財政制度等審議会による「令和時代の財政の在り方に関する建議」で、財務省は自己負担を原則2割に引き上げるよう介護保険制度の改正を提案しています。

 

しかし、2割負担を導入したのが2015年8月、3割負担導入が2018年8月と

これまでも介護保険制度は急ピッチで利用者負担割合の引き上げを行っています。

必要なサービスの利用控えが起きているのではないか、必要な時に必要な人が利用できない制度になっているのではないかといった検証も不十分なまま、自己負担割合の引き上げを続けているのではないでしょうか。

 

この先、介護保険料を支払い続けていても、いざ介護サービスが必要になった時に、自己負担割合が4割や5割といった負担の大きなものであれば、本当に必要なサービスであったとしても利用できない制度になっていくのではないでしょうか。

 

現在、介護保険制度の自己負担割合は、個人の貯蓄の部分に関して対象としておらず、あくまで年金などの所得・収入によって負担割合を判定しています。

となると、介護に必要なお金を確保するために、老後に備えて貯蓄しておこうという消費控えをさらに促進していくことにつながるでしょう。

 

老後の貯蓄に関しては「老後には年金以外に2000万円の貯蓄が必要」という金融庁の発表もあり、消費者心理はますます敏感になっています。

10月には消費税の増税があり、ますます消費が冷え込むことが予想されます。

老後の生活の安心があってこそ、消費も循環し、経済は活性化されます。

 

長生きをリスクとしてとらえる社会ではなく、健康長寿であることが尊ばれる社会でなくてはいけません。

 

介護保険の自己負担割合を引き上げるとしても、介護予防に取り組むことで健康を維持し続けた人や、ボランティアなどで介護に貢献してきた人の負担割合を軽減するなど、より国民が介護予防や地域包括ケアシステムに参画していきやすい仕組みづくりを行うことも重要なのではないでしょうか。