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自立支援インセンティブ導入、自治体のリーダーシップ発揮へ

自立支援インセンティブ導入、自治体のリーダーシップ発揮へ

いま、介護保険は制度本来の目的である自立支援重視に向けて、大きな転換期を迎えようとしています。
自立支援のためには介護保険事業者や地域住民が自立支援や重度化防止・介護予防に努めるだけでなく、自治体が果たす役割も重要になっています。

 

介護保険制度は全国どこにいても同じサービスメニューがあり、必要なサービスを受けることを基本としています。

 

ただ、それだけではなく、各市町村などの自治体が介護保険事業計画を策定し、計画に基づいて、介護保険料の設定や地域密着型サービスの指定や指導、地域支援事業なども含めた制度運営を行っています。

 

市町村など自治体の力が問われるのが介護保険制度の特徴になっています。

 

一人当たりの介護費や、介護保険認定率など、地域によって大きな格差があることも課題として指摘されています。
介護保険料で最も安い鹿児島県三島村は2,800円なのに対し、最も高い奈良県天川村は8,686円とおよそ3倍もの違いがあるなど、地域の課題は住民の生活にも直結しています。

 

平成30年4月に行われた介護保険の制度改定で、保険者となる各市町村の権限を強化し、自立支援・重度化防止を促進していくねらいを明確に打ち出しています。

 

また、結果に応じて自治体には財政的インセンティブが付与される仕組みになっており、
より自立支援や重度化防止に結果を出した自治体が多くの補助金を受け取れるようになっています。

 

まさに、介護・福祉の分野では自治体がリーダーシップを発揮することが求められているのです。

 

地域ケア会議の実施状況やケアマネと医療機関との連携の回数や、要介護認定の改善度合いについても、評価項目として含まれています。

住民の自立支援につながるサービスを自治体側としても歓迎し、サービスの質などに問題があるような悪質な事業者があれば、より厳格に対処するようになるでしょう。

 

このようなデータを数値で示し、可視化したシステムも運用スタートしています。地域包括ケア「見える化」システムと題されたウェブサイト。

他の自治体と比較して介護保険認定率や高齢化率などの基礎的なデータだけではなく、各サービス種別ごとの利用回数を自治体別に地図データで閲覧することや、要支援・要介護者一人当たりの施設の定員数などのデータも確認することができます。

 

つまり、地域の医療・介護に関する現状分析ができるシステムになっています。

 

自分の住んでいる地域や勤務先の地域がどのように自立支援や重度化防止に取り組んでいるか、そして、どのような地域課題を持っているのかを知ることにも役立ちます。

 

自分の地域について関心を持ち、調べてみること、これも地域包括ケアにつながる一歩になるのではないでしょうか。