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心不全パンデミックの脅威

心不全パンデミックの脅威

心不全は日本人の死因の中でも第2位の疾患です。

 

心不全患者は高齢化に伴い、ますます増えていくことが予想されます。

心不全患者が急激に増えていくことを心不全パンデミックと呼びます。

日本はこの心不全パンデミックの脅威にさらされています。

現在、日本の心不全患者数は約100万人。

将来予測では2030年には、心不全患者は131.5万人になると予想されています。

 

心不全は再発しやすく、入退院を繰り返す頻度が非常に高い病気です。

医療機関を中心に退院後の生活も含めたサポートを行っていますが、心臓の機能低下から肺に水がたまり、呼吸苦のために救急搬送されるなど、再入院率の高い病気です。

入院のたびに全身状態も段階的に低下していく傾向があります。

安静にすることだけでは全身の機能低下も進んでいくことから、心臓リハビリテーションとして適切な運動を取り入れることも重要です。

 

また、高齢者の心不全に関しては息切れやだるさといった、はっきりとした症状が表面化しにくい特徴もあり、再発の発見が難しいケースも少なくありません。

心不全の症状を見逃してしまう隠れ心不全も増えています。

訪問看護のサービスを利用するなどして、状態の変化を見極め、早期発見につなげていくことが重要でしょう。

 

また、心不全末期患者の在宅ターミナルケアを行うという事例も増えています。

ご自宅で最期の時を迎えたいという思いを持つ人も増えていますが、それを支える家族や医療・介護チームの負担も非常に大きくなっています。

末期がん患者と違って予後予測が難しく、場合によっては長期間のケアになり、家族による介護負担が増大する場合もあります。

人工呼吸器などの医療機器を導入することがありますが、生活の場でこういった医療機器を操作することや、絶えず医療機器の作動音が続くことも家族にとっては大きな負担となります。

また、どの段階までそういった機器を使用するのかなど、判断も難しい場面に直面することも少なくありません。

 

がん患者以外の末期患者へのターミナルケアはまだまだ充分に確立されていないとも言われています。

 

多職種による心不全チームを組むことで、様々な視点から状態の変化を見極めることが重要です。

心不全チームの実践を通して、心不全患者のターミナルケアが充実していくことが望まれます。

 

来るべき心不全パンデミックの時代に向け、予防、再発予防、ターミナルケアといった心不全対策を進めていく必要があります。